カスタマイズ包丁陳列ケースをオーダー製作|Life Knife/株式会社エディットジャパン

包丁の陳列ケースいつもとは違って木工作業中心となった今回のご依頼。カスタマイズ包丁なるものを販売されている 株式会社エディットジャパン 様から 包丁の陳列ケース の製作をご依頼頂きました。このケース、一見シンプルに見えますがなかなかに手間の掛かる作りで、二つ返事では製作を受けてくれる所が無かったそうです。私も初めてのタイプで腕をまくり上げてしまいましたが、中々良いものに仕上がりましたのでその流れと共にご紹介します。

株式エディットジャパンとは?

今回ご依頼頂いたこちらの会社は「職人コラボレーション」というコンセプトで、日本各地の職人技をかけあわせた製品企画をされています。その中で運営されているブランドの一つが、カスタマイズ包丁を販売する「Life Knife」なのだそう。(写真の人物が代表)
Life nife のHP紹介画像販売サイトを見て頂くと分かりますがとてもおしゃれ!! 料理人はじめ、料理好きな方、逆に料理が苦手な方でも 心躍り包丁が買いたくなっちゃうのではという内容です。実はこの事業、よくよく伺ってみると スタートがクラウドファンディングだというのだからそれも納得。(既にみんなのお墨付きってことですね)

どんな什器が必要?まずはご依頼内容の確認

そんな Life Knife 様の当初のご希望は「アタッシュケース型」か「重箱型」。これは…。と少し考えてしまいました。(この仕事をしてると、お話の聞き始めでなんとなく「特注(オーダー)でないと製作出来ないだろうな」というのが分かるから不思議。)下が送って頂いた資料の一部。大きさがあり、間仕切りの数も実に多い様です。

加えてアタッシュケース型は、開閉時のヒンジ部留め金具包丁を留める工夫も必要なので、(納期と価格にもよりますが)そう簡単に「作れますよー」と手を挙げる所はないでしょう。当方でもその部分がネックになるのは明らかだったので、諸々お話して「重箱型で進めさせて頂けませんか」とお願いしました。

こんなイメージ? Tetsu Mokuからのデザイン提案

ご依頼内容を一旦飲み込んだら次は提案です。納期とコストのバランスもあるので、頭の片隅に置きつつお送りしたのが下の製作イメージ。デザインから設計製作まで一貫してやるので、上の様なご相談からこんな3Dイメージを見て頂く事も出来ちゃいます。(ここがTetsu Mokuならでは且つお客様のメリット!)
重箱の様な陳列ケース3Dイメージイメージとしては「料理人が運ぶ重箱」みたいな感じ。もし展示場等で運ぶシーンがあったとしてもサマになる事を意識してみました。要所にはタモの無垢材で高級感を、明るめの樹種と白のロゴで清潔感を表現。ベースにグレーの細目のスポンジを選ぶ事で「包丁と砥石」の連想も兼ねています。ちなみに上蓋は「大きいデメリット」を逆手にとって、イベント時の看板としても使用する事をご提案させて頂きました。

こんな感じでデザイン提案していくわけですが、もちろんデザイン・設計・製作」はそれぞれ 別料金。「コストかさむなー」と感じるかもしれませんが、各所に一から説明して回答を待ち、それをまとめてまたそれぞれに説明を…と考えたらコストも時間も大幅に削減 出来てお得な事がお分かり頂けると思います。「デザインは決まってるから製作だけお願い」とか「設計と加工はやるからデザインだけ考えて」でも全然OK。「イメージはあるんだけど、なんかいまいち物事が進まないんだよね…」という場合なんかは特に Tetsu Moku とマッチングするのではと思います。

どんな構造?コストと納期も関係するというおはなし

さて、上の様なイメージだけではモノは出来上がりません。具体的な「構造」についても、このタイミングである程度設計していきます。下は作り方や材料の選定等でコストダウンしてみた案です。(寸法等は一応企業秘密)
陳列ケースの構造本数がある間仕切り部の接合もホゾにしたかったのですが、スポンジ部のメンテナンスや入れ替えでこれらを取外しするかも知れない事もあり、少し強引ですが底面からのネジ留めにして側面ホゾの加工数をカットしています。材は少し重くなりますが、コスト面からタモ無垢材に。更に「重箱の様に段組みにしたい」という要望を叶えるための断面構造が下の図。こんなカタチになりました。
段組みの断面構造デザイン、構造については以上のような感じで快諾を頂きました。この他、鉄部品を加える、ギミックを加える、留め継ぎの方法に凝る等、もっと手間や時間を掛ける事も出来ますが、やはりその辺りはコストと納期との相談が関係してきます。

こんなふうに作る! 木材加工と製作の様子

納期もなかったため、ここまで早足で進めて来ました。ご相談から仕様決定までおよそ13日。(※普段はもう少し欲しいところです。)ここでは、実際の加工の様子をざっとご紹介します。
まずはタモ無垢材を必要寸法に切り出して、ミゾキリという工具で木の角を欠き取っていきます。(1,2枚目)ネジ留めした木材は、タモがずれない様に安定させてスピードアップするために作ったジグです。これに載せてミゾキリを一度通し木を欠き取っていきます。

次に間仕切りです。こちらは十字相欠き継ぎに加工し組み立てます。

十字相欠き継ぎにした間仕切り底板とフタも必要寸法に切り出して組み立てます。(下3枚)

そして出来上がったそれぞれのパーツを組むと…3Dイメージにあった「重箱型ケース」に。完成です。

こんなにカッコよく使ってくれてます!実際の使用シーン

そんなこんなで完成しまして、なんとか納期限内に発送…それから数日後、実際に包丁を入れた様子を送ってくれました。写真を見て「お~」となりましたが、これだけ収まると壮観です。

しかも冒頭でご紹介した販売サイトではトップのイメージでこんなにカッコよく使ってくれているー!
特注包丁 Life Knife webサイト

こういうの見るとやって良かったな…とすごく癒されます。感謝、感謝です。

さあ、いかがでしたでしょうかタモ無垢材の「包丁の陳列ケース」。今回は特に木材加工中心という事で製作しながらも大変勉強させて頂きました。反省点としては、重量が出たので軽量化で古い桐タンスを再利用しても面白かったかも、とか要望にはなかったものの分割型を提案してみても良かったのかも、とかあります。たかがケース…されどケース。奥が深い…!

Tetsu Moku ではご依頼内容の半分がHP掲載品からの「セミオーダー」、もう半分はこうしたデザインから製作する「フルオーダー」で、たまにロゴ等のグラフィックデザインやムービー製作をしています。諸々の製作をお考えの方は、contact よりお気軽にご相談下さい。