ローチェアをリメイクしてアイアン脚のテーブルチェアに!

ローチェアをリメイクしたアイアン脚チェア

テーブル鉄脚やベンチ等をオーダー頂いたお客様からローチェアのリメイクをご依頼頂きました。
元の構造を利用しつつ、雰囲気も変えたリメイクの様子をご紹介します。

テーブルに合うイスがなかなか見つからない…

新しく買い換えてしまうのは簡単で良いのですが、高さと雰囲気が丁度いいものって中々見つからないものです。
こちらのお客様も新しいデザイナーズチェアの購入を検討をされていましたが中々ピンと来るものがなかったそうです。
アンティークだといき過ぎだしピカピカの新品だとそれがかえってチープにみえてしまう、何よりウォールナットの天板にインパクトがあり過ぎて馴染むものがなかったのだとか。困った様子で「何かおススメないですか?」と聞かれたので、元々座卓用に使用されていたローチェアをリメイクするご提案をさせて頂いたのです。

ウォルナットのリビングテーブルと鉄脚
前回オーダー頂いたベンチ

買い替えでなく、リメイクも一つの手。

このローチェアはデザインもおしゃれで構造上脚の延長もし易そうでした。ケースバイケースですが、今回はリメイク向きの案件と言えます。
完全に捨てるつもりだったのが、高さも変えて雰囲気も合わせられるとあってとても喜んでご依頼頂きました。

ウォルナット無垢板の座卓
座卓として使用していた時のローチェア

元の構造はなるべく利用する

下がローチェアの元の状態です。脚キャップを外すと中が空洞のパイプになっています。この空洞部分に同じ太さの丸棒を入れて溶接すれば簡単に延長出来そうです。
リメイクは雰囲気を変える事も目的ですが、既製品より安く仕上げる事も目的の一つです。元の構造が利用出来そうだったらなるべく利用します。

リメイクポイント1. 継ぎ目やアラはなるだけ隠す!

下の写真で分かる様に元の状態に鉄の棒を差すとその部分が丸見えになってしまいます。
完成度を上げるためにも、ここは労力を惜しまず見えづらい位置まで脚を切り戻してアラを隠す事にしました。こういったちょっとした部分で完成度が変わると思います。

ローチェアの脚を取り外して切断。長さを調整する。Φ13mmの棒を寸法を切りそろえて曲げておきます。これを元のパイプに差して固定し溶接。
細く頼りなく感じるかもしれませんが13mm以上であれば、そうそう曲がったりはしません。しっかり溶接すれば人の体重もゆうに支えられます。

リメイクポイント2.工業製品にないアジを1つプラス!

全て溶接しておこしてみるととこんな感じに。でもこの状態ではなんだか中途半端な感じですよね。
パイプ脚にアイアン脚を取付けたところその要因の一つが座面部分。ウレタンクリア塗装がされているので「既製品感」といいましょうか「チープ」な感じがします。そのイメージを払拭するために、「アジ」となるワンポイントをプラスする事にしました。
まずはウレタン塗装を剥離。専用の薬品やサンダーで剥離しても良いですが、奥に入り込んでいる塗装はなかなか取れません。今回は表面にアジとなるテクスチャを付けたかった事もあって、彫刻刀で彫りながら剥離していきました。
根気のいる作業ですが、工業製品ではその作業にコストが掛かり過ぎてしまうので絶対に採用されないデザインです。ここが「アジ」であり「自分でリメイクする醍醐味」の一つでもあります。

木肌が出たところで#240位のペーパー掛けをしてオイルステインを塗布していきます。木に浸透して自然な仕上がりになりますが、匂いがきついのが難点です。
時期や塗る面の仕上がり具合によって違いますが、乾いた後でも1週間~1ヶ月程匂いが抜けないので室内家具に使用する際には注意が必要です。

いよいよ完成。世界にひとつのリメイクチェアに!

手間暇を掛けていよいよ完成です。下は後日納品した様子です。「色合いも落ち着いていて彫った跡がいいですね!」と喜んで頂けました。ウォルナットのテーブルも存在感がありますが、中々馴染んでいたと思います。ここでコーヒーでも飲んだら美味しいでしょうね。ウォルナット天板に合わせたリメイクチェア

いかがでしたでしょうか。今回のケースの様にウレタン塗装(表面がツルツルで樹脂膜がある)されているものは表面を剥離しなければいけないのでちょっと大変ですが、雰囲気を変えたり目的のものが見つからない場合にリメイクはおすすめです。

・テーブルの高さに合うものを探さなくても良い。
・座面の色を好きな色にできる。(部屋の統一感が出る。)
・新たに買うより安く済む場合がある。
・世界にひとつだけのオリジナルになる。

等々、良い点もたくさんあり自分でリメイクすると愛着も湧きます。
もちろんこういったご依頼も承りますが、機会があったら皆さんも是非「自分だけのリメイク」を楽しんでみてください!